Savonnette OMEGA 17'''
<コレクションの中でも一番古いものです。ダイアルは当時のものですが経年劣化がひどく、所々ひびが入っています。> |
1913年作のオメガの懐中時計です。 1848年に創業したオメガは1970年代まで一貫して懐中時計を生産し続けました。オメガにとって懐中時計とはまさに基本であり、この懐中時計に使用されていたムーブメントをより携帯に便利で、小型に発展させたのが現在主流である腕時計です。 1848年、この当時ヨーロッパでは、すべてのデザインや街つくりに様式美を求める「ユーゲンド・シュテール(Jugendstiel)」がもてはやされていました。 これはハプスブルグ/オーストリア・ハンガリー帝国のみで流行した物ではなく、全ヨーロッパで流行しました。このユーゲンドシュティールの名は、フランスでは日本人にも馴染み深い「アールヌーボー」という名前で親しまれました。 ヨーロッパ史上はじめて登場したブルジョワ階級(貴族ではない、裕福な一般市民)の人々は毎夜着飾り、当時よく行われたサロン(個人的な贅を尽くしたパーティー。)やオペラの初演(今現在上演されるオペラの大半がこの時代に製作されました。)などに、御婦人方は豪勢な装飾付きのドレスを着込み宝石で飾り立て、また紳士は燕尾服にシルクハット、そして懐中時計をベストのポケットに忍ばせ社交の場へと足を運ぶのが粋とされていたようです。 |
<とても美しい仕上げのケース。0.900シルバーのケースにはローズゴールドメッキが施されています。> |
<1900年にパリ万博にて受賞した”GRAND PRIX”の刻印。ロンジンなどの他メーカーにも同様の刻印が施されたものを見かけます。> |
| ケースに施されている唐草模様は、この時代大変よく用いられたモチーフです。そしてダイアルにはローマ数字が用いられ、当時は美しい青色であったであろう青焼きのハンドが特徴的です。 この懐中と非常に近い形態をしている物にオメガ博物館が所有している1910年に作られた「Labrador 19'''」があります。 「Labrador 19'''」はこの懐中と同様フルハンター、0,900スターリングシルバーのケース。そして中蓋には1900年にオメガがパリ万博で受賞した”GRAND PRIX”のワッペンが刻印されています。 ダイアルもこの懐中時計同様のローマ数字が用いられた物が使用されていますが、決定的に異なるのはダイアルの内側に採用された24時間表示とムーブメントには”Labrador”の刻印が施されていることです。 ”GRAND PRIX”の刻印は金無垢及び銀無垢のケースの中蓋にのみ刻印され、1940年頃までの懐中時計の中蓋に使用されたようです。 この中蓋に刻印されている”GRAND PRIX”とは、当時ヨーロッパ各地で開催された万博において出展されたあらゆる工業製品、芸術作品のなかでも最も優秀な作品にのみに与えられた賞で、オメガは1900年にこの賞をパリ万博において受賞しているようです。 また、芸術部門では豪華な金箔をあしらった絵画”接吻”で有名なオーストリアの画家、グスタフ・クリムトがこのGRAND PRIXを受賞しているのも有名です。 |
<90年以上の月日が経ったようには見えない美しいムーブメント。当時はまだロジウムメッキは使用されていなかったようです。とても美しい銀色のムーブメントです。> |
<ケース正面に刻印された”C.B”のイニシャル。どのような方が所有し、どのような時を刻んで来たのでしょうか。> |
<テンプ受けに施された美しい模様。このパーツだけは銀メッキのようで、他のパーツに比べ黒く酸化しています。> |
〜Savonnette OMEGA 17'''〜1913年 フルハンター 手巻き cal.17'''SO ケース・50mmo.9oo スターリングシルバー製ケース/ローズゴールド・プレート |
1894年に開発されたカリバー19'''は、とても優秀で安定した”Grand DDR”をベースとしており、その後腕時計にも採用されるオメガを代表する30mmカリバーへと発展していきます。 ”Grand DDR”にはスワンネックが採用され、ムーブメントにもとても美しい彫刻が施されており、これが当時最高峰のムーブメントであったことが伺えます。 オメガの懐中時計はcal.19'''をクオリティ”A”とし、それに続くcal.17'''はクオリティ”B”と指定されているようです。 私の懐中時計のムーブは他では目にした事のない深い縦縞の入った仕上げが施されてます。これは当時すでに確立されていた”ジュネーブ・ウェーブ仕上げ”とは違う特徴的な仕上げとなっており、非常に興味深いものです。 現在あまり使用する機会の無い懐中時計ですが、100年近い長い年月を経てもまだ現在まで動き続けている様には胸打たれる物があります。 |